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□■□ お魚よもやま情報 2002年7月号 □■□
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>> 目 次 <<
1.おちょぼ口の夏魚の話
2.お魚よもやま情報資料館7月号
3.読者の皆さんの広場で〜す!
4.プレゼントクイズ7月号/この漢字の魚名を当てて!
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一ヶ月のご無沙汰です。季節は夏を迎えましたが、関東では梅雨明けに
はまだ少々間があります。こんなジメジメ、ムシムシした時季には、見
た目もスッキリとした、食欲をそそるものを食べたいですね(^^)
ハイ、いるんですよそういう魚が。そんなわけで今月のお題は、上品で
スマートな体形、淡彩の美しい体色、おまけに可愛いおちょぼ口をした
夏魚の話です。エッ、勿体ぶってないで早く言えって?ハイハイ、魚名
当てクイズは後でした。m(_ _)m それは<キス>です。
1.おちょぼ口の夏魚の話
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皆さんが店頭でよく見かけるキスは、天ぷら・フライ用として頭を取って開
いてあることが多いと思います。それも生より輸入冷凍物の方が圧倒的に多
いでしょう。これはキスが、天ぷら・フライの代表選手と言えるくらい適し
ているので開いておいた方が便利であることと、丸のまま並べる塩焼きにい
い大型サイズの生鮮キスはかなり高価だからです。
▼キスってこんな魚です
一般的にキスと呼ばれているのはシロギスのことで、スズキ目キス科に分類
されます。世界には30種ほどいますが、日本には他にアオギス、モトギス、
ホシギスの3種が分布しています。
シロギスは別名キスゴ、マギス、キスと呼ばれ、北海道南部から沖縄を除く
各地の砂浜海岸でごく普通に見られます。国外では朝鮮半島や黄海、東シナ
海沿岸、台湾に分布しています。生後1年で10cm、2年で15cm、3
年で20cm前後になり、最大では30cmを超えます。寿命は5〜6年で
す。急に現実的な話になりますが、現在のハマの魚河岸の相場は、10cm
級でk1300、15cm級でk2000、20cm上でk3000円超と
いったところです。これはもちろん、品質や産地や入荷量で日々異なります。
キスの名前と鱚という漢字の由来は定かではありません。江戸時代には別名
の幾須子(キスゴ)とも呼ばれていたようですし、明治には鼠頭魚でキスと
読ませたようです。ウ〜ン、ネズミも確かに顔は可愛いかも知れませんね。
魚偏に喜でキスとしたのは日本のようで、中国ではこれを逆輸入して使って
いるそうです。
▽こだわり派
キスは湾内や沿岸の明るい底近く、特に岩礁と岩礁の間の砂地を好みます。
光が砂底に反射して、金色を帯びた体色は見事な保護色となります。春から
夏にかけて成魚は、水深1〜15mの浅瀬にいて、海底から40cm以下、
特に15cm位のところを群れで常に泳ぎ回っています。キスにとって、こ
の海底からの高さにかなりのこだわりがあります。キス釣りのポイントはも
ちろんここですね。秋になると底近くを泳いで水深30〜40mの深みへと
住みかを変えます。
▽おちょぼ口
キスの産卵期は6〜9月頃で、一尾の雌が数回にわたって産卵します。ふ化
した子供達は透き通ったシラス型で、5mより浅い岸近くで表層生活をおく
ります。この頃のキスの口は下あごの方が出ています。表、中層の動物プラ
ンクトンを食べやすくするためです。
3cmほどに成長すると、体色もキスらしくなってきて、底から1mほどの
底層生活に移ります。さらに成長して7、8cmになるともう大人の仲間入
りです。すでに上あごの方が伸び、下向きになったおちょぼ口で、海底のゴ
カイやエビ、カニなどをあさります。このおちょぼ口が何とも可愛いです!
今度店頭で見かけたら、他の魚の口と比べてみて下さい。(^^)
▽逃げるが勝ち
キスは平和主義者です。武器もありません。敵が迫るともう必死に逃げまわ
ります。泳いで逃げるだけではなく、危険を察知すると砂にもぐって口だけ
出します。このユーモラス(失礼!)な光景は底層生活に移ると同時に見ら
れるそうです。
でも、自衛手段は備えています!視覚と聴覚が非常に発達しているのです。
そして、とても用心深く臆病な性格です。東京湾から姿を消して久しいアオ
ギスの神経質さは、シロギス以上であったと言います。釣り船に当たる波の
音にも怯えて逃げてしまうそうです。そこで江戸の釣り人は考えました・・。
▽今は昔の脚立釣り
昔から、海のキス釣りと川のアユ釣りは初夏の風物詩となっています。どち
らも秋まで楽しめる人気の高い釣り魚ですね。さて、話は江戸前の海です。
見て下さい。植木屋さんの使うような脚立が夏の海に中にたくさん立ってい
ます。その上に一人ずつ人が座っています・・・。近づいてよく見ると、釣
り糸をたれていますよ。というわけで、これがとりわけ神経質で目も耳もい
いアオギスを釣るために考え出した江戸前の「脚立釣り」だったのです。
この脚立釣りは江戸の後期に始まり、明治、大正、昭和と夏の東京湾の風物
詩だったそうです。やはり、環境破壊と汚染で東京湾のアオギスは絶滅して
しまいました。現在では九州の一部と台湾でしか見られなくなったそうです。
▼目利き
まずは目です。水晶体が澄んでいて黒目がくっきりしていること。身が締ま
って姿がすっきりと美しいこと。鮮度が良いほどピンクがかった象牙色の側
線がはっきりしています。ウロコが取れやすいものはすでに鮮度が落ちてい
る証拠ですよ。鮮度の良いキスが手には入ったら、まずは刺身で食べてみて
下さい!造り方はアジなどと同じです。初めての人はきっと感動しますよ!
▼キスの天ぷらを上手に揚げるコツ <Enjoy Cooking>
1)衣は薄くします。
2)170度程度に熱した油で揚げます。熱が均等に伝わるように、時々箸
で返します。
3)身が浮いてきたらバットに上げ、油をよく切ります。
カリッと揚げるには、薄い衣と油の温度を高めにすることがコツです。
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2.「お魚よもやま情報資料館」7月号
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▼当メルマガで取り上げたお魚の中で、なかなか目にする機会の少ない
「噂のお魚」の画像もご覧いただけます。
▽お魚よもやま情報資料館7月号
●Enjoy Cooking キスを食べよう!<簡単で安くて美味しいレシピ>
●キスの姿&おちょぼ口のアップ
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3.読者の皆さんの広場で〜す!
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前回も「魚名当てクイズ」にたくさんのご応募と、コメントをいただきまして
ありがとうございます。その中からほんの一部を紹介させてもらいます。
▽<兵庫県:Mさん>毎度楽しませてもらってます。中身が濃いので、結構じ
っくりはまりながら読んでます。これからも頑張ってくださいね。
▲\(^-^)/ありがとうございます!がんばるぞぉ〜!
▽<高松市:Hさん>鮎、最近はスーパーでも4月頃から見かけるようになり、
養殖物が堂々と出回ってますね。実は内緒なのですが、先月どうやって手に
入れたかは不明ですが天然の鮎を頂きました。やっぱり美味しい!養殖物と
は全然違います。シーズン中に沢山食べておきたいものです。
▲(^o^)内緒の話をコッソリ教えていただいて有り難うございます。私も年に
一度でいいから食べたいです!いつも楽しいコメント有り難うございます。
▽<岩手県:Mさん>ほやは、とてもおいしいですよ。殻をむきながら食べる
のが好きです。
▽<宝塚市:Hさん>いつも楽しみにしています。今回のホヤは塩辛が大好き
です。クサヤは話だけで、みたこともありません。どんなものでしょうか?
本当に臭いのですか? ▲ハイ、想像を絶する臭いです。
▽<埼玉県:Kさん>海鞘は生でも乾物でも食べたことがありますが、たくさ
ん食べられる味ではありません。日本酒と合うといわれますが日本酒が無い
と食べにくいというのが正しいと思います。
▲やっぱりホヤもクサヤと同様、好みが分かれるようですね。では今月も皆さ
んに試してもらいましょう。
▲ところで、先月号のクイズの「イボのようなたくさんの突起が特徴です。」
というヒントについて、「イボが有るホヤは養殖物で天然物には無いのでは
」という質問をいただきました。最も知名度の高い東北地方のホヤはマボヤ
といって、天然物には体中に突起があります。養殖物は赤みが強く、突起は
上の方だけで下の方にはありません。また、北海道のアカボヤはのっぺりし
ていて、イボのような突起はありません。
下記のURLにマボヤの天然物と養殖物の写真があります。
http://www.nobi.or.jp/x/yamauchi/cooking/hoya/index.html <養殖>
http://www.rnac.ne.jp/~kiriya/sonota/sonota1.html <天然>
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4.プレゼントクイズ7月号/この漢字の魚名を当てて!
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お魚の名前を漢字で書くと、なるほどと感心するもの、難解?なものがたく
さんあります。それではまずは、少々小手調べです。
今月は<夏が旬の魚>第2弾です。3問できればグッドです!
a.嘉魚 b.海胆 c.鰌 d.潤目鰯 e.真子鰈
さて、あなたは何問解りましたか?(答は末尾にあります。)
▼それでは本番!<2002年7月の問題>です。
今月も難しいですよ。頭の中に平衡感覚をつかさどる耳石と呼ばれる大きな
石があるのが名前の由来です。塩焼きやバター焼きもいいですが、中華料理
では蒸し煮にしたり、丸ごと揚げて甘酢あんかけが定番ですね。
そう、今が食べ頃の私は<石首魚>です!
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△練習問題 答 a.イワナ b.ウニ c.ドジョウ d.ウルメイワシ
e.マコガレイ
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